ヤサオトコ
田原は営業部長の池本と、会議室で打ち合わせをしていた。
「2課は2名や。人選は任したで」
池本が田原に言った。
「2名もでっか」
二人はリストラを誰にするか話し合っていた。
「総務から10%削減と、きつく言われているから仕方がないやろ」
「1名は簡単でおますけど」
「誰や」
見当が付かない池本が、田原に尋ねた。
コンコン。
ドアを叩く音に続いて、女子社員の市村美奈代がコーヒーを運んで来た。
「栗崎でんがな。あいつ大チョンボをしましてな」
「栗崎か。まだ、26才か7才やろ。もっと年取った給料の高い奴はおらんのか」
池本と田原は、美奈代の事を気にせずに話を続けている。
「栗崎にしまひょ。あいつのミスで、ホーム食品の扱いが無くなるかもしれまへんのやで」
「それやったら仕方がないな」
(えっ、栗崎さんがリストラされるの)
コーヒーをテーブルに置きながら、美奈代が心の中で呟いた。