ヤサオトコ

 (もし、小火騒ぎがなかったら、あの男は紐で首を吊っていたかもしれない)


 栗崎はそう思った。


 (あの男は、間違いなく明日の俺だ)



 (いや、俺の明日は、もっと最悪かもしれない)



 (畜生!)



 栗崎の胸に熱いものが込み上げて来た。
 涙を落としたくない。


 栗崎は空を見上げた。
 都会の空に、星が微かに煌いた。








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