ヤサオトコ
 
 「なら、24時30分発に間に合うな。大阪駅桜橋口から深夜バスが出ているんだ」


 「今からか」
 「帰れるとわかったら、無性に帰りたくなったんだ。親父の顔も見たいし」


 「・・・」
 「じゃあな」


 男はバッグを素早く摑むと走り出した。
 栗崎は呆気に取られて、ただ後ろ姿を見詰めていた。


 男が振り返った。


 「ありがとう。必ず返すから」


 そういい残すと、男は一目散に夜の街を走って行った。
 栗崎はいつまでも男の後ろ姿を見送っていた。







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