ヤサオトコ
夢の中の房江は、何故か標準語を喋っていた。
栗崎は夢の中でも、房江に追い掛けられていた。
房江の若作りは、チンドン屋より酷かった。
それは、醜悪だった。
その上に、べたべたと塗りたくった厚化粧。
栗崎は、限界だった。
(いい加減にしろ)
栗崎が言い掛けたその前に、房江が口を開いた。
「籍入れてえな。明日は定休日やから、婚姻届を貰いに行くわ。サインと捺印をしてえな。お願いや。ええやろ」
「・・・」
「なあ、ええやろ」
房江が執拗に入籍を迫る。
「・・・」
この時、栗崎の心が決まった。
下痢が治まった今、房江と暮らす必然性は全く無かった。