ヤサオトコ

 「こらっ!また、トイレか。これからや言うのに、しゃあないな」


 田原は立ち上がり、栗崎の後ろ姿を目で追っていた。


 その一部始終を見ていた社員の中に、同僚の小倉健一がいた。

 小倉は何を思ったのか、栗崎の後を追ってトイレへ。そして、栗崎の隣のトイレに音を立てずに入った。


 (本当に腹が痛いのか、猿芝居か。俺がこの目で確かめてやる)


 小倉は靴を脱ぐと、便器の上に立ち上がった。そして、上から、用心深く隣のトイレを覗いた。


 (栗崎のあほ!本当にスラックスを下ろしていやがる)

 
 小倉が、全身を目にして注意深く小倉を見詰めた。
 栗崎は便器に蹲っていた。






 
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