彼は人魚姫!
「しぃには関係ない話。それよりどうすんのよ。服、ないよ」


「大丈夫。裸になるのは慣れてるから。ママも平気でしょ?」


「あたしを変態みたいに言わないで。そんな…、まだ経験もないのに平気な訳ないでしょ?」


うわっ。
あたし、何かとんでもなく恥ずかしい事を口走ったような気がする。
どうか今の言葉は聞こえてませんように…。


「大丈夫だよ。僕なら優しくしてあげる。最高に愛してあげる…」


スッとあたしの正面に来ると腰を抱き、慣れた手つきであたしの顎をちょっと上げた。
な…何!?
しぃのくちびるしか目に入って来ない。





「いってぇなぁ」


しぃはアスファルトに尻もちをつきながら手首を軽く振って、痛みの場所を確認している。


あたしは知らん顔でサッサと歩き出した。
突き飛ばされたのはそっちのせいだし。
からかうな。バカ。


冷たくなって来た風が、火照った頬を冷やして行く。
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