彼は人魚姫!
「いや…、誰にでも言ってる訳じゃないですよ。女の人に可愛いだなんて、たぶん言った事…ないな。ほんとに…あの、綺麗な方なんでびっくりしました」


ちょっとはにかんで笑う。
こんな素敵な男性に、こんな事言われたら…。
イチコロ。
だけど、ギリギリの所で堕ちそうな気持ちを踏ん張らせる。
あたし、惚れっぽい?
いやいや、誰だって日本で3本の指に入るくらいのイケメンに誉められたら、平常心なんて飛んじゃうって。


「あ、ありがとうございます。お世辞でも嬉しいです。ほんと。…あの、今日はこちらへはお仕事のついでか何かですか?あ、どうぞお掛けになって下さい」


あたしの手は紅茶を淹れる準備を始めている。
少し休憩して欲しいって思っただけなんだけど、なんか実技試験みたいでドキドキする。


「ありがとう。仕事の邪魔じゃないかな?」


「とんでもないです。すみません…。見ての通り、閑古鳥が鳴いてますから。お時間が大丈夫ならゆっくりして行って下さい。オーナーのお店なんですから」
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