紅蓮の鬼


「じゃぁ、そろそろ政権交代だな」


「黙れ」


――…あ、また〝姐さん〟スイッチ入った


「で。さっき道に迷ったって言ってたけど」


――あれ、もう切れた


「道に迷う?こんなとこで?」


松谷の目が鋭くなる。


「俺らここらへんでキャンプしに来たんだよ」


「キャンプ?」


松谷が眉間にシワを寄せる。


「…なんかあんのかここ?」


「………」


数秒、松谷が考える。


そして、眉間にシワを寄せたまま険しい顔をして、「…それってなんかのツアー?」と聞いてきた。


「あぁ」


俺はポケットに入れたままだった、ヨシャからもらった今回のキャンプの事が書いてある紙を松谷に渡す。


松谷はそれを見ると、「はっ…やってくれる」と、呟きながら苦虫を噛み潰したような顔をした。


――あ、また〝姐さん〟スイッチ入った


松谷は急に、「…要(かなめ)」と言った。


すると、天井からシュタッとひとつの黒い塊が落ちてきた。


「…ここに」


要と呼ばれた黒い着物に包まれた人は膝をついて言う。


……うわ…ぉ…。


マジ忍者みたい。


なんて思っていると松谷が要に言う。


「外で待っている奴等全員に『武器の手入れは怠ってないよな』と釘をさしとけ」


「全員…ですか」


要が驚いたように聞きかえす。


「あぁ…全員だ」


「御意」


要はまた天井に上がった。


松谷は「ふう」と息をついて


「全く…見張りはやっぱ無くすもんじゃなかったらしい」


と、フッと笑って言った。




< 20 / 656 >

この作品をシェア

pagetop