紅蓮の鬼
「……松谷…?」
俺は考え事をしていそうで、してなさそうな松谷に声をかける。
「…あァ、ごめんごめん。悪いけど南を巻き込む形になるわ」
「…え?」
「…とりあえずあたしらのことは他に漏らすなよ」
「…おぅ…」
「…まぁ、万が一口を滑らすことがないようにはしてやるけどね」
そう言うと松谷は自分の指をナイフで切る。
ぶわっと甘い血の匂いがし始める。
「……っ」
急激に自分の血が熱くなるのが分かった。
やはり本物の血を前にすると、今までトマトジュースとかイチゴオレとかで誤魔化してきたこの異様な喉の渇きは、誤魔化せないらしい。
血が出たのを確認して松谷は俺の口に血が出た指を近づける。
「なにを…っ!!?」
「飲んでもらわんと困る」
松谷は強く言った。
「…っ」
俺は苦い顔をする。
妙に息が上がる。
「お前にはきついか?この匂い…」
松谷は口角を上げる。
まさか。
松谷は俺がヴァンパイアだと知っている…?