紅蓮の鬼



それからワタシは一か月ほど、楓太の家に厄介になった。


楓太の弟からは、数えきれないほど色目を使われた。


それはそうと、楓太が弟をよく思ってない理由も少しは分かる気がした。


ある日はドブに浸かったんじゃないかと思うくらい臭く、ある日は馬鹿みたいに髪を立てていた。


前者の元凶をつきとめると、それは香水だった。


何種類もの香水の匂いが混じった結果、あんな匂いが発生したらしい。


因みに本人は匂いが分からないらしく、お手伝いさんたちに聞いていた。


彼女たちはこの家に使える身の為、避けることもできず、無視することも出来ない。


弟が異様な匂いを放ちながら彼女たちの元へ行き、長く話す。


その間にも嫌そうな顔を見せない。


ワタシはこの日ほど彼女たちが憐れに感じた日はない。





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