みんなの恋~short stories~
「あー、今すぐ抱きつきたい」
「あたしは抱きついてる」
ギューと斎藤の背中に込めた力を強める。
「いたた、けっこうキツいんだって。安全運転出来ない。」
文句をいわれたけど聞こえないフリをした。
「あー、もう。」
そういうとキュッと自転車を止めた。
顔を上げると海が。
「えっ、すごい!」
「昨日頑張って調べたんだ」
得意げに話す斎藤。
「ずっとこいでたから足がパンパンだし。」
「ね、斎藤入ろう!足まで!」
色々言ってる斎藤をムシしてはしゃぎ、早くも靴下を脱ごうとするあたし。
しかし
「お礼は?」
と腕をつかまれた。
「うん、斎藤ありがと!」
と言えばギュッと抱きしめられた。
「あー、抱きしめたっと」
「…何言ってんの斎藤、意味わかんないよ。」
あたしはちょっと混乱している。