みんなの恋~short stories~



「あー、今すぐ抱きつきたい」
「あたしは抱きついてる」

ギューと斎藤の背中に込めた力を強める。

「いたた、けっこうキツいんだって。安全運転出来ない。」

文句をいわれたけど聞こえないフリをした。

「あー、もう。」

そういうとキュッと自転車を止めた。

顔を上げると海が。

「えっ、すごい!」

「昨日頑張って調べたんだ」

得意げに話す斎藤。

「ずっとこいでたから足がパンパンだし。」

「ね、斎藤入ろう!足まで!」
色々言ってる斎藤をムシしてはしゃぎ、早くも靴下を脱ごうとするあたし。

しかし
「お礼は?」
と腕をつかまれた。


「うん、斎藤ありがと!」

と言えばギュッと抱きしめられた。

「あー、抱きしめたっと」

「…何言ってんの斎藤、意味わかんないよ。」

あたしはちょっと混乱している。


< 5 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop