Raindrop~Mikoto side
薄暗い教会の中、灰に沈むステンドグラス。

輝かないマリア像を前に跪くショパン。

彼の耳に届く激しい豪雨が、恋人の不幸を予感する不安を増長させ、渦を捲いて襲い掛かってくる──!


「あ──」


激しい雨音に今にも押しつぶされてしまいそうで、弓を持つのも辛いくらいだった私の耳に、微かに届いた和音くんの声。

彼は演奏を止めていた。

そんなお兄ちゃんを、花音ちゃんも拓斗くんも不思議そうに眺めている。

「あ……いや、すまない、止めてしまって……」

和音くん自身、何故弾くのを止めてしまったのか分からないような顔で、僅かに頭を振る。

息を吐いて、弓を握ったまま腕を擦る和音くん。

……もしかして、彼にも押し寄せてくる不安の波が見えたのかしら。

私も鳥肌が立っている。今のは……確かに凄かった。それを感じられたのだとしたら、いい傾向だ。

「じゃあ、4小節手前から」

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