Raindrop~Mikoto side
それからテーブルの上も整理して、楽器店で購入してきた楽譜を取り出す。

N.パガニーニ作曲『ヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調 作品7 第三楽章』──ラ・カンパネラ。

L.V.ベートーベン作曲『ヴァイオリンソナタ第五番 第一楽章』──春。

和音くん、そして拓斗くんのコンクール自由曲だ。

それから、花音ちゃんのJ.S.バッハ作曲『無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番』のガボットも。

いじめを受けたため、予選には参加しないかもしれないと言っていたけれど、念のために譜読みをしておこうと並べてみた。

全て自分で弾いたことがあり、中でも得意なのはベートーベンだけれど。

それぞれにどんな指導をしたら良いのかを書き出さなければならない。


「……その前に」

楽譜をテーブルの端に積み上げ、そうして取り出したのはレポート用紙。

私は、大分授業もレポート提出もサボっていた。

『彼』の結婚の話を聞いて、自暴自棄になって、大学も休みがちになって。

それほど忙しい時期ではなく、アキちゃんに代弁を頼んでいたおかげで、まあ、なんとかなっていたのだけれども。

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