Raindrop~Mikoto side
前期試験のレポートと、他にもいくつか提出しなければならない。

これを書かないと夏休みが来ない。

つまり、これを終わらせないとヴァイオリン講師としての時間が取れなくなるのだ。


図書館で借りてきた本をどさどさと積み上げ、頭を抱えながら本を読み漁る。

「あー、どうしてこんなにサボっていたの、私!」

そんな風にひとり部屋の中、声を荒げながら、丸二日徹夜でレポートを書き上げた。




一日置きに橘家に行くことになっていた私は、フラフラしながら大学へレポートを提出した後、電車に乗り込んだ。

合格点が取れるかどうかなんて、もう考えたくない。

きっと大丈夫、駄目でも大丈夫。

そう思いながら眠くて朦朧とした頭を覚ますため、すっきり爽やかガムを口に放り込み、涙目になりながら──実は辛いのは苦手──小学6年生の参考書に目を通す。

いじめを受けて心に傷を負った花音ちゃんのため、授業が遅れることのないよう、しっかり教えてあげないといけない。

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