ケータイ小説 『肌』 著:マサキ
あれ……?
改札を抜けて自転車置場の前を通り過ぎた時、知った影を見た気がした。
車道をはさんで向こう側、マサキに似た人が交差点で立ち止まり、信号待ちをしてる……。
まさかね。
マサキと別れた直後、私はよく、全くの別人をマサキと見間違えたりして、アサミに心配されていた。
あれは、勘違いを越えて病的ですらあった。
ここからじゃ顔もよく見えないし、履歴書の作り過ぎなのか、就活するようになって視力が落ちたから、あの人の顔を見極める自信もない。
ざわつく胸を無視し、私は家に帰った。
仕事で数日間帰宅していない両親の代わりに、久しぶりにポストの中を確認してみる。
面倒だからあまり見ないようにしてるけど、しばらく確認してなかったせいで、やっぱりたまっている。
かったるいこの瞬間。
普段、ウチにくる郵便物といえば、某化粧品メーカーや通販会社のダイレクトメールくらいなのに、今日に限っては珍しいものが紛れ込んでいた。
私は思わず目を見開き、丁寧な手つきでそれを開いた。
「同窓会……!?」
高校の同窓会通知。
白い往復ハガキの裏には、「出席·欠席」にマルをつける欄がある。