ケータイ小説 『肌』 著:マサキ


同窓会通知が来た、翌日の夕方。

午後の講義が終わるなり、私はまたもや、サクとラブホに入り浸っていた。

他人から見たら、マヌケでバカなことをしていると思う。


昔の私が今の私を見たら、何て言うんだろう?

現実逃避するように、ただ、サクの欲望に答え、彼のぬくもりを感じ安心して、頭の中からマサキの存在を消そうとしている。

こうすることでしか、マサキの存在を『なかったものにする方法』が分からない。


事を終え、私はシャワーを浴び、ベッドでミネラルウォーターを飲んでいると、普段詮索(せんさく)なんてしてこないサクが、ベッドの中でタバコをくわえたまま、

「今日、どうしたんだよ。なんかあった?」

「別に……」

「夏休みが近いって時に、んな暗い顔すんなよ」

サクは横からからみついてきて、再び私を抱こうとした。

抵抗せず、私はされるがままになる。

ミネラルウォーターを手にベッドに押し倒された状態で、今度はこっちからサクに訊いてみた。

「サクは、彼女作らないの?前の人と別れてから、けっこう経つよね」

「愚問だな。なんで今のうちから一人の女に絞らなきゃなんねえのって話。

女って、最初はおとなしくても、そのうち束縛して色々文句つけてくるようになるじゃん。それがもう無理。

結婚するまでは誰にも縛られたくない。ううん。結婚しても、彼女の一人や二人はほしいな。その方が絶対楽しいし。

不倫する人の気持ち、オレにはよーく分かる!」

「訊かなきゃよかった」

「せっかく生まれ持ったイケメンスキルを最大限に生かしてるだけだって。

オレって罪な男だよな、自覚はある!」

「容姿に恵まれた男は腹黒いって、ホントだね」

私はわざと皮肉るように返し、サクの愛撫を受け入れた。


マサキとは真逆のサク。

だからこそ、サクとはこんな都合の良い関わり方ができるんだ。

サクはいちいち深いことを訊いてこないから楽だし、だからこそ、マサキを失った時みたいに死ぬような痛みを感じずにすむ。

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