ケータイ小説 『肌』 著:マサキ
着信音にしていた曲が何度かループしているにも関わらず、アサミは私を呼び出し続けている。
交流があった頃、アサミはこんなにしつこく電話してくるタイプではなかった。
「………腹くくれ、私!」
たくましく自分を励まし、私はアサミの電話に出た。
「……はい」
電話に出た瞬間、一瞬のうちにこう考えた。
アサミとは、どうやって会話してたっけ?
どんな声のトーンでしゃべっていたっけ?
分からなくなり、頭が真っ白になった。
彼女と接するのが久しぶりすぎて、どんな口調でしゃべったらいいのか全然分からない。
かつてぶっちゃけトークしあう間柄だったとは思えないくらい、私は、アサミの電話に引いていた。
何を話せばいい……?
距離を置くようになってから、私はアサミの事情をあまり知らない。
どんな人と付き合い、どんな友達と遊んでるのか………。
バイト先でどんな仕事をしてるのか……。
前ならなんでも知ってたし、アサミの彼氏以上にアサミのことを知っている自信があったのに。