ケータイ小説 『肌』 著:マサキ
『出るの遅い!!
これからバイトなのに、話す時間なくなるじゃん!
てゆーか、なんか、ミオ、ヘン!
よそ行きみたいな対応でウケるー! ははははっ!』
いま、あたかも目の前で私の表情を見ているみたいに、アサミは笑い転げた。
前と変わらず、冗談っぽい口調で。
「笑うことないじゃん!
文句言うくらいなら、バイトの前じゃなくて時間に余裕ある時に電話してこれば?
で、何の用?」
私もつい、普通に返してしまう。
自分でもビックリだ。
不思議……。
アレコレ考えてたのがウソみたいに、私とアサミは以前と変わらないノリで話しはじめていた。
『同窓会のハガキ、きた?』
「うん、きた」
『ミオも行くのかなぁって、気になってさ。行く?』
「んー……。微妙。
迷い中。
行かないかも」
同じ高校に通ってたのだから当然とはいえ、アサミの元にも同窓会の知らせが行っているのだと知り、私の胸は不安感でざわついた。
「アサミは行くの?」
『もちろん!
久しぶりにみんなと会いたいし、就職したら今みたいに自由に動けなくなるだろうから、同窓会とかあっても参加できないかもしれないし』
アサミは行く気満々みたいで、もう一度同じことを訊いてきた。
『ミオは、行かないの?』
「……行かない」
アサミと話しているとなおさら、マサキの存在が浮かび上がる。
……まあ、マサキが来るとしても、欠席するとしても、私は同窓会に行くのをためらっただろうけどね。
どっちにしても、高校時代絡みのイベントを前にしたら、複雑な心境になるのは仕方ない……。