ケータイ小説 『肌』 著:マサキ
『ミオがいないと、つまんない!
来るよね?』
「行かないって」
私はなかばヤケ気味にそう返したが、アサミも負けじとたたみかけに入る。
そうだった。
アサミはこんなコだ……!
自分の思い通りに事を運ぶためなら、ためらうことなく、あの手この手で説得に入ろうとする。
『同窓会会場の店名見た?
あそこ、ぱっと見、学生が入りづらそうな店に見えるけど、全然そんなことなくてさ。
前にバイトの人達と行ったんだけど、オシャレだし、店員さんカッコイイし、おいしいカクテルもあるんだよ。
ミオも、行ったら絶対気に入ると思う!
店長が料理好きな人でさ、常連には裏メニュー出すってウワサだよ!
ミオのことだし、どうせ毎日カップラーメンばっかり食べてるんじゃない?
同窓会をキッカケに頑張って通って、私達も常連になろうよっ。
どうせなら、毎日おいしいご飯食べたくない?』
「興味ナイ」
『ユキリンとヒロも来るよ』
ユキリンとヒロは、高校時代、私達と一緒に行動していたメンバーだ。
修学旅行や企業見学、体育祭も、必ず、アサミ、ヒロ、ユキリン、マサキ、私の5人一組だった。
ヒロの名前を聞いただけで、私の鼓動は早くなる。
彼は、マサキの親友だった男子だ。
高校卒業後、ヒロは私達とは違う大学に進み、駅ビル内の本屋でバイトしていた。
今はどうしてるか知らないけど……。
マサキと別れてから、私はヒロとも連絡を取らなくなった。