ケータイ小説 『肌』 著:マサキ
夏の夕方は日中ほど暑くないけど、全体的に空気がしめっていて気持ち悪い。
私達が住む、ここ、日本の中心部にも、熱中症で倒れた人がいることを思い出した。
時々見るニュースで、話題になっている。
ラブホを出る直前、シャワーを浴びて念入りに体を洗ったというのに、ビル群に占められた表通りを数分歩くと、不愉快にも汗が止まらなかった。
ひかえめに輝くオレンジ色の夕日も、暑さに拍車をかける。
持っていたハンドタオルでどれだけ拭いても、汗はたれた。
「あーもー、ヤダ。夏キライ」
「そんなイライラすんなって。
汗かいたミオってエロくて、俺は好きだけど。
夏の女はイイよな」
サクがまた、ふざけたことを言っている。
「うるさいなー。
サクって、前世はサルだったんじゃない?」
「ひでえな。部屋出た瞬間それかよ。
さっきまであんなに可愛かったクセに。
お前のエロい声、まだ、耳に残ってる」
ニヤニヤしながら言ってくるので、私はサクを無視して歩き出した。
相手にされないのがつまらないのか、サクは脳天気に、
「ごめんって。
そんな怒るなよ、悪かった!」
「本気で謝ってる顔じゃないな、それは」
「バレた?」
バカなサクを置いて、私は先を歩いた。
ふと、前方から歩いてくる高校生の集団が目に飛びこんでくる。