僕は自分がどれだけ幸せかを知らない
「しかも何やら両思いっぽいんだよ。」
うっわー、何ソレ?
でもいとこなら結婚許されるんじゃん。
「平坂先輩…たしかいとこ同士だと結婚出来るんですよね?」
椎名先輩が聞いた。
「そうだ?」
「うらやましいッスねー。」
「もうお前はいいや…。」
「へ?何スか?」
「片町、だからアイツはもう恋というよりは愛なんだ。」
「平塚先輩!恋と愛の違いは?」
「そのクセ、アイツは知性欲が豊富だからな。何でも知りたがる。」
素直先輩ガン無視の平坂先輩。
「俺も…初めて彼女が出来たときも…しつこかったからな…。」
赤面!!
平坂先輩…意外に緊張しやすかったり?恥ずかしがり屋さん?
「ほぉーーー。」
「何?どーかしたか?」
思わずボーっとしてたら、気付かれた。
ある一定の角度から見たら…平坂先輩…格好いい…。
彼女さんとかこの角度で見ちゃったんだぁ。
「おい!!」
納得していると、目の前に流星パンチ発射準備の平坂先輩。
「はっ!すいません!!宇宙人と会話してましたっ!!」
「あん?まあいい。だからこれからしつこく聞かれるかもしらないんだ。」
「Be Careful.ですね。」
「そういうことだ。」
「一ヶ月は離れないからな。あと、デートの話をしたらついてくるとか言い出しかねん。禁句だ。ソースは俺。」
キッツいなぁ…。
あのイケメン顔で…。
「何よりアイツは…自分のことをちゃんと認識できていない。」
「?」
「自分がイケメンだとわかってない。だからクラスの女子にクッキーを貰っても不細工な奴があまったのを貰ってる。みたいな感覚なんだ。」
「そんな人、いるんですね。」
「他にもいろいろと天然ちゃんだがな。俺がカモフラージュしてるよ。」
「保護者みたいですね。」
「そんなもんだな。よし、そろそろ休憩終わりだ。行くぜ。」
椎名先輩へのイメージの瓦解。
まあ、それでも人を惹きつける魅力があることは変わらない。
だってサッカーしてる姿はホントにキャプテン。
完璧な人間だもの。


でも確信できた。
椎名先輩、平坂先輩、素直先輩。
三人とも優しい先輩だ。
毎日きつい練習、というよりは修行は未来のこのサッカー部のためなんだと。
愛のムチなんだと。
そうじゃなかったら、僕はただ寿命縮めてるだけだ。
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