僕は自分がどれだけ幸せかを知らない
問十二、彼女の気持ちは?
「さあ、明後日から大会だ。レギュラー陣は体調崩すなよ。」
監督の声が響く。
「くちゅん!!」
小さなくしゃみの音。
部員全員が、監督までもが声の無視を見入る。
「島井、大丈夫かぁ?」
監督の素っ頓狂な声。
「大丈夫びぇす!」
再びくしゃみ。
「風邪でも引いたか?」
椎名先輩が聞く。そしてこちらを見る。…何?
「あー、とりあえず今日は休んどけ。帰っていいぞ。」
「いえ、まだ仕事が…」
「そんなの一年にやらせるから。島井は帰りな。ほら、洒冴。送っていけ。」
椎名先輩が振ってきた。
「えぇ!?」
「だってかの…」
「行きます!!」
「そうか、頼んだぞ。島井、早く治すんだぞ。」
「はい…。」
部員全員と監督の妙な視線を受けながら、今日は部活なしで帰れた。


「はっくちゅ!!」
「…大丈夫か?」
「ふっ…死にはしないさ…くちゅん!!」
何カッコつけてるんだ?
「…お前でも…風邪、引くんだな。」
「引かないとでも思ってたの?私を何だと…ちゅん!!くちゅん!!思ってるのかしら?」
つい思ったことが口に出てしまった。
「あー、ホラ?バカは風邪ひかないって…」
「私をバカだと思っていたの?」
「あっ!?違う違う!!」
「へぇー、ちゅん!!はっくちゅん!!」
ヤッベーー!!好感度下がった?
「あ、もうここでいいよ。ありがと。今日は久しぶりの休みなんだからしっかり休みなさいよっちゅん!!」
「あ?あぁ、そっちこそしっかり休めよ。」
「うん。バイバイ。」
そういえば、島井も休み無くマネージャーの仕事してきてたんだな。
ずっと一緒の時間に帰ってたんだ。
僕の練習と同じ時間働いていた。
大変だな。
「ねぇ…。」
「なんだ?」
「あとでメールか…電話してもいい…かな?」
「…っ!?…べっ、別に、いいぞぉ?」
いきなりすぎて変な声になっちゃったじゃあないか!!
でも反射神経は良かった。
『かな?』のあとの返事にかかるまで0.2秒。
神速のインパルス!!


家に帰り着くと、ベッドの上でケータイをすぐ手が届くところに置いて…
「久しぶりにゲームでも…」
ヴゥゥゥゥゥン!!
「キタッ!?」
メールだ!!
画面をこれまでに無い速度で開く。
件名『無題』本文『島井と2人きりになって気分はどうだ?』
差出人…椎名先輩かよっ!!
「とりあえずスルーしておこう。」
画面を閉じ、PSPに持ち替える。
「やっはろーー!!」
THE・妹登場♪
「今日は早いねー。」
「部活が無くなったんだよ。」
「そうかー。じゃあ一緒にゲームしよー?」
「断る。」
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