「1/4の奇跡」左側の君に【完】
バッと私は目をそらして、前を向き直した。
まさか、目が合うと思っていなかった。
和泉は少し驚いたような顔をしていた。
大きな瞳をまん丸にして、
何か書いている最中だったのか、
シャーペンを持って固まっていた。
バカだ。
もう一度見たら、落ち着くどころか、
心臓がバクバクバクバク、
おかしな速さで動き出してしまった。
私は、緩い位置につけられた制服のリボンを、
片手で抑えた。
リボンの上からでも、心臓の鼓動を強く感じた。
その時急に、生徒達がバタバタと立ち上がったり、
片付けをし始めた。
そしてチャイムが鳴り、
授業が終わったことに気づいた。
「じゃあ頼むなー」
担任の言葉がやっと耳に入ってきた。
・・何を頼む・・?
黒板を見ると、
●足りないもの
●ガムテープ
●折り紙
●セロテープ
●ダンボール
などが書いてあった。
なんだろう・・・
全然聞いていなかった。。。
「あのさ」
突然左隣から声がして、
驚いて左を向いた。
「悪いんだけど、俺、
部活途中・・・5時であがるから、
それからでいいか?」