「1/4の奇跡」左側の君に【完】
私は彼女と別れて、校舎へと入った。
校舎の階段を上りながら考えた。
結婚しない。
付き合ってもいない。
好きな人がいる。
キーホルダー・・・
キーホルダーをプレゼントした彼女が、
他にいるんだろうか。
でも拓人は確かに、
『彼女と結婚する』って言っていた。
拓人の言っていることと、彼女の言っていることと、
どっちが正しいんだろう・・・
3階に着き、右に曲がって一番奥の教室を、
後ろのドアの窓から覗いた。
生徒は教室に6人だけで、
拓人が黒板の前で授業をしていた。
4-1は、拓人のクラスだったんだ・・・
本当に先生している・・・
パッと目が合ってしまい、
私は、ドアから離れた。
授業のじゃまにならないように、
終わるまで廊下で待つことにした。
しばらく待っていたら、生徒たちが廊下に出てきた。
昨日の今日だから、みんな私が来たことを喜んでくれて、
なんだかすごく嬉しくなった。
私は、水筒の名前をみんなに見せた。
すると、ひとり女の子が近づいてきた。
【ありがとう】
ニコッと笑ってくれて、届けに来てよかったと思った。
みんな廊下に出て、階段の方へ行ってしまい、
廊下に拓人と二人きりになってしまった。