「1/4の奇跡」左側の君に【完】
「忘れ物届けてくれたのか・・・
わざわざごめんな・・・ありがとう」
拓人が私の前に立った。
その時、拓人の首から下げてある名札を見た。
・・・キーホルダーなんてついてないけど。
私は、名札を掴んだ。
すると、名札の後ろに500円玉のようなものが、
プランっとぶら下がった。
これ・・・
キーホルダーって・・・
【星時計】のことだったんだ・・・・・
「なんで、結婚するのに、
こんなのつけているの・・・?」
拓人の顔を見上げると、
ぐっと名札を引っ張り返された。
拓人は黙っていた。
私は、さっきの会話が書いてあるページを開いて、
拓人に手帳を突き出した。
「これ、本当なの?
拓人は結婚しないの?」
拓人はそれを見て、はぁ・・とため息をついた。
「バレたか・・・」
「ばれたかじゃない!どういうこと?
どうしてこんな嘘ついたの?」
拓人は俯いてしまった。
パラパラと子供たちが戻ってきた。
私は、拓人の名札を持って、
裏にぶら下がっている星時計を拓人に見せた。
「これ・・・私の忘れ物だから。
すっごく大切な物だから。
届けにきて。
今日、天文台で待っているから。
私、忘れ物が届くの
ずっと待っているから」
私は、名札を離し手帳を奪うと、
階段の方へ早足で歩き出した。