「1/4の奇跡」左側の君に【完】
戸惑うように、
優しくそっと抱きしめてきた拓人。
私の髪を撫でて、
撫でて、
ぎゅっと抱え込むように強く抱きしめてきた。
「好きだよ・・・花音。
ずっと好きだった。
好きだよ・・・好きだ・・・
お前しか・・・考えらんねー・・・」
苦しいほど抱きしめてきた拓人の背中を掴んだ。
初めて聞いた・・『好き』という言葉。
そっか・・・私たちはずっと今まで、
同じ想いでいたんだ。
会えなくても、
ずっと、
ちゃんと、
繋がっていたんだ。
ふっと抱きしめていた力が緩み、
拓人が私の肩をそっと押した。
見つめ合って、拓人の顔が近づいてきた時、
私は、拓人の両頬を抑えた。
大きな瞳をまん丸にして、驚いた拓人の顔が、
かわいくて、
愛おしくて、
ぷっと吹き出して笑ってしまった。
「なんだよ・・・」
両頬を抑えられた拓人がちょっとすねた時、
私は背伸びをして、
私からちゅっとキスをした。
すると、拓人はぐーっと下を向いてしまった。
「お前・・・相変わらずだな・・・」
下を向いている拓人はそうつぶやいて、
顔を上げた。
見下すようなこの表情・・・
私の唇だけを見つめて、
顔を横に倒しながら近づいてきた。