モラルハザード
その声に、向日葵が「わーん」と泣きだした。
「大きな声を出さないで下さい。子どもが泣いてるじゃないですかっ」
私は恐怖心より向日葵を守りたい一心で叫んだ。
大田という男性は、少し声を落とした。
「私も事を荒立てたいとは思っていません。でも、これ以上は待てません。
いいですか?5000万ですよ、5000万を貸し付けて、一銭も返済がないのですよ」
5000万…
「でも、会社のことは、私、まったくわからないんです」
そう言うと、大田という男性はふっと鼻で笑った。
「会社って、どこにあって、どんな仕事してるんですかね。あんた見たことあんの?」