モラルハザード


その声に、向日葵が「わーん」と泣きだした。


「大きな声を出さないで下さい。子どもが泣いてるじゃないですかっ」


私は恐怖心より向日葵を守りたい一心で叫んだ。


大田という男性は、少し声を落とした。


「私も事を荒立てたいとは思っていません。でも、これ以上は待てません。

いいですか?5000万ですよ、5000万を貸し付けて、一銭も返済がないのですよ」


5000万…


「でも、会社のことは、私、まったくわからないんです」


そう言うと、大田という男性はふっと鼻で笑った。


「会社って、どこにあって、どんな仕事してるんですかね。あんた見たことあんの?」

< 113 / 395 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop