モラルハザード
「私、大田といいいますが、御主人の森川陽介さんに多額のお金を貸し付けているものです」
その人はかっちりしたスーツを着ていたビジネスマン風の男性。
「…はぁ…」
なんのことだろう?
陽介が?
「返済期限はとうに過ぎてますが、まったく返済されず連絡とれず大変困っています」
「…」
「すぐに返していただきたいのですが」
「…あの、私に言われても会社のことは…」
「は?知らないのか?あんたもグルなのか?え?だんなどこにいるんだよ」
さっきまでとはまったく違う荒々しい口調で問い詰めてきた。