モラルハザード
「どうすんだよ、警察行くしかないんだな」
大田はすごんできた。
「警察に行ったら、一銭も返ってきませんよ」
自分でもびっくりするような声が出た後、ごくりと生唾を飲み込んだ。
「あ?」
大田の険しい顔が怖かった。
「それよか、うちの主人だったら5000万くらいのお金、時間かけたら返せます。
必ず、返させます」
「ふん、そうか。じゃ、まず今月中に1000万返せ」
「ええ、わかりました。必ず返します。だから今日は帰って下さい」
なんの保証もなかったけど、そうでも言わないと本当に警察なんかに行かれたら困る。
向日葵を前科者の子どもになんかさせられない。
絶対に。