モラルハザード
「…わかった。じゃだんなにこれ渡しておけ。必ず今月中に1000万だぞ」
大田は名刺を押しつけ帰って行った。
私は力が抜けてへなへなと座り込んだ。
なんとか家の玄関にたどり着き、向日葵をリビングの床に置くと
すぐに陽介に電話した。
陽介は最初少し戸惑っていたようだけど、すぐにいつもの調子になり
「今、会社でいろいろトラブル抱えているねん。たぶん、その一人やと思う。
ちゃんと契約書あるし、法を犯すようなことはしてない。だから奈美は安心しとったらいいから」
と優しく言ってくれた。
「ホント?ホントに大丈夫なのね」
「うん、今月中に1000万やな。ちょっとキツイけど払えないことないし
俺から連絡とってちゃんとしとくから」