モラルハザード
プレ青葉のレッスンが終わる頃
ようやく薫さんが声をかけてきた。
「杏子さん、お疲れ様。莉伊佐ちゃん、よく出来たわね」
莉伊佐は、薫さんにはにかんだ笑顔を向けた。
「薫さん、帰りにお茶でもどうかしら?
教材のことで相談にのっていただきたいの」
薫さんに声をかけられて、少しだけ安堵した私は今度は機嫌をとろうとした。
「ごめんさい、杏子さん。私、今日、車で来ているの。
だから、今日はご一緒できないわ」
さも残念そうな顔をして
薫さんは、莉伊佐に寄ってこようとした陽太くんを引き離した。
「では、また。杏子さん、プリのレッスンの時にでも」