モラルハザード
「ただいま」
家に帰ると、透が先に帰ってポツンと座っていた。
「パパ~」
斗夢がその透に抱きついた。
しかし、透は、茫然として、斗夢に何も反応しなかった。
「どうかしたの?」
透のあまりの変な様子が気になった私は
手を洗うのも忘れて透の側に行った。
「これ…見て」
スマホのネットニュースの見出しを見せられた。
『芸人─R 薬物所持で逮捕』
えっ…Rさん?
薬物って?
逮捕って?
私は、気が遠くなりそうだった。
「何これ、Rさん、逮捕されたの?」
「俺も、このニュースで知ったんだよ。
なんか最近変だったんだ。
稽古もすっぽかしたり、急に来たかと思ったら
異常にテンション高いしそれに
ひどく痩せたな…と思ってたんだ…」
私たちのただならぬ様子を感じたのか
斗夢は私たちの様子をじっと大人しく見ていた。
「透、透は、やってないよね?この薬って、麻薬でしょ
誘われてたりしないよね?」
透の顔は青ざめていた。
「ね、透、やってないよねっ」
きりきりした私の声が部屋に響いた。