モラルハザード
私たちはこれは自分たちだけで抱えられない問題だと判断し
透の所属事務所に連絡をした。
翌日、千葉の実家に斗夢を預け、
事務所の顧問弁護士と共に警察署に赴いた。
透はこのまま警察で事情徴収を受けるという。
持っていた袋には相当量の麻薬が入っていて
透が使用していなかったか、薬の検査薬で調べるとも言った。
何事もないように…心から祈った。
神さま、透は何もしていません。
だから、どうぞ、何事もなく透を私たちの元へ返して下さい。
そう思いながら、警察署を後にしようと出たところで
もっとも会いたくない人物に会ってしまった。
奈美ちゃん…
驚き過ぎて言葉も浮かばなかった。
──奈美ちゃんが、どうしたの?
──警察署に何の用事があるの?
余裕のない頭の中で
私は自分の事情が悟られないかを恐れつつも
奈美の事情を鑑みた。