モラルハザード
「森川さん、ご主人ですが
今回の逮捕は、もともとは、ある会社の横領容疑が発端です。
ここまでくるのには、いろいろあったようです」
横に腰をかけた園部弁護士がかばんからメモを取り出した。
「ご主人はある会社の経営コンサルタントとして預かったお金を
横領した疑いがあります」
「…経営コンサルタント…」
そんなこともしていたんだ。
陽介の仕事のことはまるで知らない。
「はい、その件について、その会社は警察に被害届を出していまして
ご主人は何度も任意同行を求められ、事情聴収も受けておられるようです」
「警察に事情聴収を…」
まったく…知らなかった。