モラルハザード
「ええ、そして、任意同行を求められ、事情聴収を受けるということは
かなり疑わしいと思われてのことです。
捜査をする前の段階ですが疑わしいところが明らかになるまでは
居所をはっきりとさせておく必要があるのです」
「はい…」
「しかし、ご主人は、急に引っ越しをなさったようで…そうですか?」
「あ、はい、2ヶ月ほど前ですが、ちょっといろいろあって、引っ越しをしました…」
太田が追ってきて、引っ越しをしたのだ。
そのことを思い出し、気持ちがさらに重くなる。
「それを警察に通知していなかった。
だから、居所がわからなくなり、逃亡の恐れがあるということで
指名手配されまして…」
「え、指名手配…」
「あ、でも、そんな凶悪犯じゃありませんので
写真が街に、でかでかと貼られるとかじゃありませんよ」
ここまで話すと、園部弁護士は、少し相好を崩した。
「しかし、名義上は指名手配犯として、探すことになります」
そして、また表情を戻し、話しを続けた。