モラルハザード
フェラガモのシューズを選んでいると、メールに気が付いた。
…あら、亮太、めずらしい。
『ブログ見たよ。近くに買い物に来たんだって思ってさ。ランチでも一緒にしないか?』
亮太の勤める大学病院から目と鼻の先のイタリアンで待ち合わせをした。
そういえばここは、亮太と付き合っている時によく待ち合わせしたレストラン。
夜勤明けの亮太と、海外から帰ってきた私。
お互い、忙しい合間を縫うようにして会っていたあの頃。
過去の幸せだった時間を反芻しても、今の方が幸せだと言えるこの余裕。
これで、莉伊佐がこの後、数年後に聖英に合格したら、また今のこの時を、反芻し、より幸福感に浸ることが出来るのだろう。