モラルハザード
───
「じっじ」
「斗夢、また大きくなったなぁ」
父が目尻を下げて斗夢を抱きあげた。
千葉の実家は、駅から20分ほどあるので
父が車で迎えに来てくれたのだ。
「せまいけど、はよ、乗れ」
軽トラックは父の愛車であり、仕事用の車だ。
私は斗夢を抱いて、父の愛車にに乗り込んだ。
「透くんはどうだ?もう大丈夫なのか?
薬物疑惑の中に透くんの名前があがっとらんから
ほっとしとるんだけど」
横で斗夢が覚えたてのアニメの歌ををうたい始めた。
車に乗ると嬉しくて歌い出す。
「うん、なんとか、大丈夫みたい」
こんなことになると、有名じゃないことが喜ばしいなんて。
「…そんなことより、おばあちゃん、どう?」
この間、警察に行く際、斗夢を預けに来た時に
おばあちゃんの様子が少しおかしいと聞いていた。