モラルハザード


ただ、手持ちのカードの残高が少なくなっているのが気がかりだった。

山下先生のお茶会への入会のお金

毎回のお茶会代、そして山下先生お勧めの商品の購入。

これらは現金での支払いになっている。

現金がなければ、お茶会に参加しても心許無い。

仕方なく、私は実家に莉伊佐を置いて通帳類を取りに行くことにしたのだ。

昼間の今から夕方までの時間なら、亮太は仕事で家にいないはず。

そっと玄関のカギを開け久しぶりに帰った我が家は

何も変わっていなかった。

ただ、部屋には亮太の荷物をまとめた段ボールが積んであり

唯一、そこがこの家の変化だった。
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