モラルハザード


先の見えない暗いトンネルからやっと抜け出た私は


天にも昇る気持ちだった。


赤ちゃんという神様からのプレゼントは想像以上にうれしいものだった。


妊娠中も楽しかった。


産まれてくる赤ちゃんのことをあれこれ考えての生活は幸せそのものだった。


可愛いベビーベッドにおくるみ、ベビー用品は


すべて同じブランドで統一した。


胎教にいいと聞く音楽も聞いたし


産まれてからの幼児教室もパンフレットを集め研究した。



産まれてくる赤ちゃんには、よりよいものを提供したかった。


それはそれは楽しい日々だった。

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