モラルハザード
「驚いた!亮太…どうしたの?」
家に戻った私と入れ替わるように、長野に単身赴任した亮太がいた。
「休みがとれたから、帰ってきたんだ」
そう言って、リビングで寝ている莉伊佐にタオルケットをかけた。
リビングは酷い有様だった。
おもちゃが散乱し、飲み干したワインの瓶がテーブルに置きぱなしになっていて
莉伊佐はビデオを見ながら寝てしまったようで、テレビの前に転がっていた。
「杏子、最近、おかしいぞ、どうしたんだ?」
その言葉で、何か糸が切れたようになり、私は亮太にすがって泣いた。
これまでのことを洗いざらい打ち明けて…。
「大丈夫だよ、杏子。そんなこと起こらないから安心したらいい」
そして、私が逮捕に至る理由なんてないことを理論的に話してくれた。
その亮太の声は優しくて、その言葉でこれまで不安だった気持ちが楽になった。