モラルハザード

「杏子、莉伊佐の聖英受験は、もうこれでやめよう」

それから亮太は、今度は静かなきっぱりとした声だった。

「聖英とか、二人目の男子とか、もう、いいんじゃないのか」

「じゃ、私はどうしたらいいの?何を目指していけばいいの?」

ずっと、目標があって、それを達成するために努力してきた。

二人目の男子がうまくいかないのなら、莉伊佐の聖英受験を叶えることが

今の私の目標だった。それを失くしてしまうのなら

何を目指して生きていくのかわからない。


「そのままでいいんだよ」


え?…


「杏子は杏子なんだよ。誰から評価されなくてもいいんだよ。他人にどう思われるか

より、今の自分を好きになることだよ。俺は何もなくても杏子が好きだよ」


「…亮太…」


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