モラルハザード
それは亮太の親戚が集まる場でのもの。
亮太の本家は群馬県にある。
大きなお屋敷は築年数は相当だが、佇まいは荘厳だ。
曾祖父は地元の県会議員を務めた有力者。
親戚もそれなりの地位と名誉を持つ。
義父はその次男で、東京の医大を出て、その東京で開業した。
そしてもう何十年も前に亡くなったような親戚の33回忌やなんやらで
わざわざ東京から群馬の片田舎まで足を運ぶ。
それは、その子どもの亮太にも課せられる訳で
その度に私は顔も一向に覚えられないくらい
大勢の親戚たちの中に入って嫁としてふるまわねばならない