オレ様になりたくて…。
馬を木に繋げてもらい、ベンチに座って、少し休憩することにした


「難波さん、運動神経いいね?中々、すぐにはこんなに乗れないよ」


「そんな事ないです。でもこんなに楽しいとは…なんて言うか癒されますよ」


「そうだね。馬は優しいからね。だから太一もよく来るんじゃないかな、癒されるために」


「チャラ…、布施くんがですか?」


「はっはっ、難波さん、チャラ男で大丈夫だよ」


「あっ、はい…そのチャラ男が癒されにってどういう事ですか?」


あまり太一は人に言わないんだけど、と前置きしてから結城さんは話始めた


チャラ男んちは実は誰もが知っている大企業だった

つまりチャラ男は意外にも御曹司の坊っちゃん

それで馬かぁと納得する

チャラ男の両親はチャラ男が小さい頃から忙しく、ほとんど家に居なかったので

いつもチャラ男は一人だったそうだ

実は結城さんとチャラ男は幼馴染みで

結城さんは、子供の頃からチャラ男と兄弟の様に遊んでいたそうだ


「太一はすごく甘えん坊でさ、僕が家に帰るって言うと毎回、泣くんだよ」

何となく、想像できるな

とにかく、チャラ男はいつもいつも広い屋敷に一人きりでぽつんと居たらしい

そのうち、チャラ男は元々の明るい性格もあり、彼の周りにも人が集まるようになった

ただ、チャラ男の両親だけは、仕事に忙しくチャラ男にはほとんど無関心だったらしい

きっと、チャラ男がチャラチャラしているのは寂しい気持ちを隠そうとしているのかもな

と何となく思った

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