ゴーストバスターZERO
第10話(ゆるされぬ恋の結末)
おっす!
俺は零。
温泉郷で恋をしたハナ…

次々に若い男を死へと導く霊だった…

俺は…

女将の必死の説得で
我に戻ったのだが…



……第十話(許されぬ恋の結末)



ハナ…

俺の知ってるハナは…


もうソコには…


居なかった…
雨が降りだして来た…

ハナは俺の目の前で…

老いていき…


白髪のザンバラに伸びきった髪

目はくぼみ…

歯は抜け落ち…

肌は土色に変色し…

体は痩せこけていった…


ハナ…
これが…
お前の本当の姿なんだね…

俺は…
ハナを見ても
あまり驚かなかった…
(↑そんな訳ないやろ!)


「なぁ…ハナ…」
「俺を最後にしてくれないか?」
「俺は…お前の側に居たいんだ…」
「いいだろ?」


「お客さん!!」
「まだそんな事を言ってるのかい?」
「アンタが例え死んでも、ハナはやめないよ!!」


(零…その女将の言う通りじゃ…)
(女将は、残念ながら…)
(能力は無いし、見えてもいない…)
(お前を…イヤ…今まで来た若者の仕草や言動を注意深く観察してきたんじゃ…)
(女将は客に来た若者達を救えなくて、悔しい思いをしてきたんじゃ)
(早く…生に執着して、ZEROになり、ハナを…)

「天魔よ…断る!!」
「俺が死んだら…ハナをお前のところに連れて来るから、その時に頼むよ…」


(この愚か者めが!!)


「零さん…アタシをそんなに好きなのかい?」
「たった数日しか過ごしてないのに、よく愛してるなぞと言えたもんだね…」


「あ…そうだよ…」


「アタシに見せてくれないか?」
「愛の形ってヤツを…」
「さしづめ、そのうるさい、温泉宿の女将を…」
「黙らせておくれ…」


「ハナ…分かったよ…」


俺は…

ハナに愛の形を見せてやる為に、墓場にある卒塔婆を抜き、女将の頭を殴ろうとした…
(↑ヤメロ~!女将にもしもの事があれば、これからはツッコミ入れてやらないからな!!)


雨がさらに
激しくなり…
自分の判断力が
消え失せていた…


女将…
悪いが…
サヨナラだ!!


女将の恐怖に歪んだ顔を
見ていたら…


あっ!?


体中に電流が走った…


獅子覚醒…


俺は…
今、何をやっていたんだ…
俺は…
恐怖に震える人達を
これまで…
救ってきたじゃないか…


女将にはちょっとだけ
休んでもらうよ…

女将のみぞおちに
軽くパンチをいれ
気絶させた…


雷恩の姿は…
見せれないしな…
(↑正気に戻ったか?)
(↑心配させやがって(泣)


女将を抱き上げ
雨がかからない場所に
寝かしてあげた…

ゴメンな…女将…


俺は視線を感じ
ゆっくりと振り返る…


ドスッ!!
ウガアッ!!


墓石をハナが
投げたのが…

俺の胸に直撃した…


「この化け物が…」
「アンタまでアタシをコケにしたんだね!!」
「死ね!!」


連続して墓石を
投げつけたが…

俺はよける事なく
攻撃を受けた


(お主!!気は確かか?)
(ZEROになれ!!)
(雷恩の姿とて…生身の体…)
(何故じゃ?お前は…)
(何故、それでも生きたいと言う気持ちにならんのじゃ…)


「俺は…ハナがここまでなったのかを知りたいんだよ…」
「ハナの姿はヤッパリ、笑ったり、泣いたりする、普通の女の子なんだよ…」
「俺は…ハナの心に受けたキズを知るための痛みなら構いやしないよ…」


(お主の体が持たぬぞ!)


アガッ!!


ハァ…ハァ…


俺は…

ハナに向かって歩いて
いき…

鬼畜に変貌した老婆を
抱きしめた…


「離せ~離さんか!!」
「この化け物が~!!」


さすがに墓石は
体に酷だった…


足がガクガクなりながらも…
ひざまついて…
ハナの腹部に顔を埋めた…


!!


見えた!!

お腹の中には
もうひとつの
小さな魂…


あっ!?

いつもの姿のハナの映像

逃げるハナ…

追いかける

複数の男…


乱暴されるハナ…

次も…

複数の男…

乱暴されるハナ…


あっアイツ…


背中に昇り龍の彫り物


その後は

この映像が…

瞬時にフラッシュバック


やがて身籠るハナ

そして…

服毒したハナ…


身寄りがないハナ…は

ハナは…(泣)

無縁仏として…(泣)


そうだよな…

悔しかったんだよな…(泣)

誰も近くに居なかったんだから…(泣)


「離せ~化け物~」
「離せ~!離せ~!」



「いるか?牛若丸よ…」
「ヤッパ死ねないや…」
「やり残した事を思い出したよ…」
「今は…死ねない!!」

(零…時間がかかりすぎじゃ)
(受けとれ!!)


金色の光の玉が…(泣)

俺の…(泣)

心臓部に…


ドックン、ドックン

筋肉の増幅
みなぎる闘志


雷恩ZERO降臨!!


「ZERO…今回だけは言わせてくれ…」(泣)
「ハナ…お前は優しいハナだ」
「でも…罪もない若者達の命を奪うのはイケない事なんだ」(泣)
「だから…」
「だから…」
(泣)


「成仏して…お腹の中の赤ん坊と安らかに…」


「眠ってくれ!!」(号泣)


(零よ…雷電を拳に溜めるんだ!!)


「ZERO…それは出来ない…」

(はぁ?貴様…何を言ってるんだ?)


「確かに…でも」
「額に血文字を書いて欲しいんだ…」
「そっちが苦しくないよな…」


(それが狙いで、俺様を降臨させたのか?)


「頼むよ…」
「たまにはいいだろ…」
「こっちも、体貸してんだから!!」


(貴様~お主は禁忌を犯し、俺様に指図する権限など、あると思っているのか?)


「………」(泣)


(何も言えまい…)


「分かったよ…」

うぉぉぉおお~

極限状態に達した時
天空より雷神が
出現した!!



(よ~し!行くぞ!!)


「………」
(雷電拳!!)


「オリリャー!!」


ハナに当たる寸前で俺は
方向を変え、雷電拳を外した…
雷電は空の彼方へと消えていった…

(貴様…ことごとく、邪魔をしおって…)


「これでいいだろ…」
「早くしてくれ…」

ZEROは無言のまま
人差し指を噛み
ハナのヒタイに
血文字の梵字を書いた…


ハナは…
俺の腕の中で
苦悶の表情になったが
やがて、ハナ本来の姿になり…(泣)

優しい顔になり…

俺の顔を見つめながら…

青い炎に包まれて…(泣)

消えていった…


サヨナラ…



(零…今回の、貴様は許される事ではない。)
(いづれ…天界より、罰が与えられるであろう…)

ZEROはそう言って
帰っていった…


「牛若~いるか?」

(なんじゃ…)

「罰ってなんだ?」

(あれか…お前の嫌いな霊界修行だ…)


(゜□゜;えっ?

(ZEROに支配された時は
ZEROの管理下に置かれ
この世の法律じゃなく
あの世の法律になるんじゃ…)


「て…事は…俺、死ぬの?」

(死なんと修行できんじゃろ…)


「ちょっと待てよ…」
「俺は…いつまでの命だ?」


(そうじゃな…日が暮れまでじゃ…)


(゜□゜)え~っ!!


(じゃあな!後で待ってるぞ!!)


ズキッ!!

う~


痛てぇな…


ヤバい日が暮れる…


まだ
雷恩のままだ…


女将をかかえ…

旅館に運び…

その姿を

観光客にみられ…


長い棒で袋叩きにされながらも…

旅館へ…進入し


ロビーにいた
ジイサンをみつけ

気絶させ…


墓地に連れて行き
今までの事を話して

ハナに
謝罪をさせた…


ジイサンは…涙ながらに
謝っていたが…



ジイサンに

毎年必ず

墓参りを


…させる事を


約…束し…



俺は…


人目がつかない


草むらの中で…


息を…引きと…った…



許されぬ恋の代償は
あまりにも大きすぎた…




第十話 終
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