求*幸福~愛しい人はママだった~【完】
彼女もホッとしたような声で話し、荷物を持ち直し、スッと、その場や俺にはなんの躊躇いもなく立ち去ろうとした。
俺は、とっさに彼女の腕を掴んでしまい、引き留めてしまった。
(やばい!俺、何してる!?)
びっくりした顔をこちらに向けて、ハッとして彼女が口を開いた。
「やっぱりどこか痛いですか?!!どうしましょう…今あまり時間がとれなくて…どうしましょう…」
段々と小さくなる声に、なんだか可愛らしいなぁと口元を緩めてしまった。
「いやっ、痛みなんかないよ、大丈夫。腕いきなりごめん。こっちこそ、何か悪かったです、荷物、壊れたもんとかない?」