求*幸福~愛しい人はママだった~【完】


会社の名刺というのが残念だが、今は高望みは、するまい。



それにこの店は、昼間撮影で気になってた雑貨屋だ、客としていけば、また話せる。



何でこんなに興味が湧き、離れたくないと思うのか、心に初めて生まれたこの感情の真実にはまだ、気がつくことができなかった。



「それじゃあ、七谷彩乃さんね、了解、何かあったらそこに連絡下さい。」



「はい、わざわざご親切にありがとうございました、えっとぉ、滝沢さん、ですね、滝沢さんも何かありましたらご連絡下さい、それでは慌ただしくて申し訳ありませんが、人を待たせてますので、失礼します。」



そう話すと、ほんの少しだけ左足をかばいながら、振り返る事無く駅前から遠ざかっていった。



『人を待たせている』その言葉が気になって仕方がなかった。










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