【砂漠の星に見る夢】
「長い間ピラミッドは奴隷に強制労働させて建造したと思われてきましたが、近年の調査によってそうではないことが分かったんですよ。
ピラミッド建造は一般市民の普通の仕事だったようなのです。ちゃんとお給料や休みをもらってピラミッドを建てる仕事に携わっていたようですよ」
その言葉に「そうなんだ」とホッとし、再びピラミッドを見上げた。
良かった、無理やり作らされた血と涙の建造物じゃなかったんだ。
そうだよね……じゃなかったら、こんなに神々しいオーラは出ないような気がする。
「それではピラミッドの中に入りましょう。ピラミッドは北面に入口がございます。皆さん、こちらです」
そう言って歩き出したガイドの後についてピラミッドの北面下腹部にぽっかりと空いた黒い穴から内部に入っていく。
ピラミッドの正規の入り口はもう石で埋め込まれていて、現在の入り口は盗掘穴を利用しているんですよ、とガイドは歩きながら説明を続ける。
今や入口となっているその盗掘穴から中に入ると、細くて狭いデコボコしたトンネル状態の通路が続き、途中、下降通路にぶつかりを歩くとすぐ上昇通路にぶつかるという仕組みになっていた。