【砂漠の星に見る夢】

イシスは心を落ち着かせるように深く息を吐き、少しの間を置いて、そっと顔を上げた。


「私……このお腹に、彼の子を宿しているの」


そう言って腹部に手を当て、泣き笑いのような表情を見せた。


「―――えっ?」


ネフェルは目を見開いた。


「彼の子を妊娠しているの。
最近、食べ物を受け付けなくなったのも、嘔吐を繰り返していたのもその為よ。誰にも言いたくなくて口にはしていなかったけど」


イシスはそう言って、また息をついた。


「だから……私は行けないわ。
5年の歳月は長すぎたのよ。でもあなたの言葉は決して忘れない。今まではあなたとの思い出を胸に生きてきたけど、これからはあなたの言葉を胸になんとか生き永らえるわ」


そう言って浮かんだ涙を見られないように横を向いたイシスに、ネフェルはキュッと拳を握った。



< 166 / 280 >

この作品をシェア

pagetop