【砂漠の星に見る夢】

――良かった、イシスの両親は無事だったか。


すぐにイシスにこのことを伝えなくては。


「では、母上、ターナ、少し席を外します」


ネフェルはそう言って颯爽と部屋を出て行った。


「まったく落ち着きのない王子ですこと」


と笑うメルサンクにターナは曖昧な笑みを返した。


薬が効いた様子もないし、やはり私は捨てられてしまうのだろうか……。


落胆し俯いていると、メルサンクは真剣な眼差しを向けた。


「ターナ殿、あなたはこれから何があってもネフェルについていけますか?」


唐突な質問にターナは戸惑いながら顔を上げ、「はい」と頷いた。


「ネフェルは今まであなた以外、妻を娶らなかった。ですが、ネフェルがこれからあなた以外の妻を娶っても、着いて行けますか?」


「はい、それは勿論」


王室の王子が複数の妻を娶ることなど、ごく当たり前の話だ。


私が不安なのは、ただひとつ。


捨てられてしまうことなんです、と心で付け足した。

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