【砂漠の星に見る夢】
突然現れたターナに、メルサンクは「おや」と微笑し、
「やぁ、ターナ、ヘムオンは?」
と笑顔を見せたネフェルに、ターナは怒りを覚えた。
捨てるつもりの息子のことを気に掛けるなんて……。
「……ヘムオンは今お昼寝中です。それよりもネフェル様メルサンク様、体にとても良いというお薬を頂きましたので、どうかご賞味ください」
とターナは二人に小さなカップを差し出した。
ネフェルとメルサンクはいきなりのことに戸惑いながらも、「ありがたいこと」とその薬を飲み干した。
薬を口に運ぶネフェルの姿に、ターナの胸は激しく音を立てた。
……一体どんな変化があるというのだろうか?
しかし飲み干したネフェルに、特に変化はなかった。
ターナは拍子抜けした気分で空になったカップを受け取っていると、その時、「失礼致します」と家臣が姿を現し、ネフェルの元に歩み寄り耳打ちした。
「――イシス様のご両親の場所が分かりました。クフ王子の家来の監視下にあるものの、二人とも健在で、とても良い待遇を受けている様子でした」
その報告にネフェルは心底、ホッとし胸に手を当てた。
「そうか、それは良かった。とりあえずこれからのことは僕が指示を出すから、気づかれぬよう監視を続けてほしい」
家臣は「御意」と跪き、「失礼いたしました」と部屋を後にした。