【砂漠の星に見る夢】

突然現れたターナに、メルサンクは「おや」と微笑し、


「やぁ、ターナ、ヘムオンは?」


と笑顔を見せたネフェルに、ターナは怒りを覚えた。


捨てるつもりの息子のことを気に掛けるなんて……。


「……ヘムオンは今お昼寝中です。それよりもネフェル様メルサンク様、体にとても良いというお薬を頂きましたので、どうかご賞味ください」


とターナは二人に小さなカップを差し出した。


ネフェルとメルサンクはいきなりのことに戸惑いながらも、「ありがたいこと」とその薬を飲み干した。


薬を口に運ぶネフェルの姿に、ターナの胸は激しく音を立てた。


……一体どんな変化があるというのだろうか?


しかし飲み干したネフェルに、特に変化はなかった。


ターナは拍子抜けした気分で空になったカップを受け取っていると、その時、「失礼致します」と家臣が姿を現し、ネフェルの元に歩み寄り耳打ちした。


「――イシス様のご両親の場所が分かりました。クフ王子の家来の監視下にあるものの、二人とも健在で、とても良い待遇を受けている様子でした」


その報告にネフェルは心底、ホッとし胸に手を当てた。


「そうか、それは良かった。とりあえずこれからのことは僕が指示を出すから、気づかれぬよう監視を続けてほしい」


家臣は「御意」と跪き、「失礼いたしました」と部屋を後にした。



< 177 / 280 >

この作品をシェア

pagetop